アスベストとは

石綿(アスベスト)は、天然に産する繊維状けい酸塩鉱物で「せきめん」「いしわた」と呼ばれています。

その繊維が極めて細いため、研磨機、切断機などの施設での使用や飛散しやすい吹付け石綿などの除去等において所要の措置を行わないと石綿が飛散して人が 吸入してしまうおそれがあります。以前はビル等の建築工事において、保温断熱の目的で石綿を吹き付ける作業が行われていましたが、昭和50年に原則禁止さ れました。
その後も、スレート材、ブレーキライニングやブレーキパッド、防音材、断熱材、保温材などで使用されましたが、平成18年9月1日以降の現在では、原則として製造等が禁止されています。
石綿は、現状のままでは問題ではなく飛び散ること、吸い込むことが問題となるため、労働安全衛生法や大気汚染防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律などで予防や飛散防止等が図られています。

アスベスト材利用例

アスベスト(石綿)とはどのようなものか

アスベスト(石綿)とは、天然に産出する繊維状ケイ酸塩鉱物の総称であり、蛇紋石系のクリソタイル(白石綿)と角閃石系のクロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)、アンソフィライト、トレモライト、アクチノライトの6種類があります。
労働安全衛生法等の法令の規制対象となるアスベストについては、厚生労働省労働基準局長通達(2006(平成18)年8月11日基発第0811002号)において、「繊維状を呈しているアクチノライト、アモサイト、アンソフィライト、クリソタイル、クロシドライト及びトレモライト」と定義しており、アスベスト含有建材の判定はアスベスト含有量が0.1重量パーセントを超えるかを基準としています。
また、アスベストは自然由来の物質であるため、工業的に利用されている天然鉱物の中に不純物として混入しているおそれがあるということにも留意すべきです。そのため、厚生労働省は2006(平成18)年8月28日基安化発第0828001号「天然鉱物中の石綿含有率の分析方法について」において、アスベストの混入のおそれがある鉱産資源である、タルク、セピオライト、バーミキュライト、ブルーサイトに関するアスベスト含有の分析と判断方法を示しています。
我が国で過去使用されたアスベストは圧倒的にクリソタイルが多く、クロシドライトやアモサイトも輸入・使用されましたが、1995(平成7)年にはこれら2種類は輸入と使用が禁止されたため、以後は主にクリソタイルだけが使用されてきました。従来、意図的には利用されていなかったとされてきたアクチノライト、アンソフィライト、トレモライトの3種類についても、実際の建材分析の結果から国内での使用が確認されています。
現在は日本において、製造、輸入、新規の使用はされていません。
アスベスト含有建材(アスベストを0.1重量%を超えて含有するもの)は労働安全衛生法施行令により、2006(平成18)年9月から、製造・使用等が全面的に禁止されています。

アスベストとロックウール、グラスウールの違いは何ですか。

アスベストは自然の鉱物であり、蛇紋岩や角閃石が霜柱状に結晶した繊維です。一方、ロックウールやグラスウールは、メーカーの工場で鉱物等を高熱処理などにより製造した人造繊維です。ガラスが原料の場合は「グラスウール」で、岩石が原料の場合は「ロックウール」です。

アスベストはどこにどのようなものが使用されていますか。

アスベスト含有建材は、住宅や倉庫では外壁、屋根、軒裏等に成形板として、ビルや公共施設では梁・柱の耐火被覆、機械室等の天井・壁の吸音用等に吹付け材として使用されています。
アスベスト含有建材は、以下に大きく分類されます。
①鉄骨の耐火被覆材、機械室等の吸音・断熱材、屋根裏側や内壁などの結露防止材としての吹付け材
②鉄骨の柱、梁等の耐火被覆成形板
③天井等の吸音・断熱及び煙突の断熱としての断熱材
④天井・壁・床の下地、化粧用内装材、天井板、外装材、屋根材等の成形板
⑤その他、建材以外でも自動車のブレーキ、高圧電線の絶縁材、各種シーリング材等に使用されています。

アスベストを使用した建築物を解体する場合

労働安全衛生法、石綿障害予防規則が適用され、周辺環境へのアスベスト粉じん飛散防止の観点から、大気汚染防止法が適用されます。これらの法令により、アスベストの使用の有無の事前調査、作業の届出等が義務づけられています。
また、解体により生じる廃棄物は、建設リサイクル法、廃棄物処理法に従い、適切に処理する必要があります。なお、各地方公共団体の条例による規制がある場合はそれを遵守してください。

アスベストが使われているかどのように調べるのか

建築物を施工した建設業者又は工務店、あるいは分譲住宅等を販売した宅建業者に問い合わせ、設計図書(建築時の施工図・材料表等)で確認します。ただし、アスベストの使用が記載されていない場合や、後に改修工事や補修工事でアスベストが使用された可能性もあり、現地調査と合わせて調査する必要があります。
アスベスト含有吹付け材が規制された年代と建築年次、使用されている用途などによりある程度は類推できますが、調査者等アスベスト調査の専門家(※)に依頼することをお勧めします。

所有している建物を調査する手順

石綿作業主任者がいる業者へご依頼ください。

①事前相談
吹付けアスベストなどアスベスト含有建材が使われているのではないかと不安になったら、まずは施工建築会社、調査会社、地方公共団体の担当部署等にお問い合わせください。
アスベストの調査は、専門家に依頼してください。
調査費の補助金制度のある地方公共団体の場合は、事前に確認してください。
②調査
契約後、調査者等はまず、図面調査でお住まいの建築物を確認しますので、お手元に建築物の図面(断面図、構造図、仕上げ表など)を準備してください。必ずしも図面が揃っていなくても調査は可能です。
次に、調査者等は現地調査をし、必要箇所の建材をサンプリングし、 分析会社に分析を依頼します。
③調査後
分析の結果が出ましたら、調査者等が調査票を作成しますので、調査結果及び今後の維持管理に必要な事項の説明を受けましょう。この調査結果は将来、改修・解体する時に必要となりますので、大切に保管して下さい。

石綿(アスベスト)工場の元労働者やその遺族の方々に対する和解手続による賠償金のお支払いについて

和解により国がお支払いする賠償金の額は550万円~1,300万円

平成26年10月の大阪泉南アスベスト訴訟最高裁判決により、国の損害賠償責任が認められました。この賠償金の請求方法についてのご案内です。
国を提訴し、訴訟の中で以下の要件を満たすことが確認され、和解が成立した場合には、賠償金をお支払いします。
(1)昭和33年5月26日から昭和46年4月28日までの間に、局所排気装置を設置すべき石綿工場(※)内において、石綿粉じんにばく露する作業に従事したこと。※ 石綿紡織工場、石綿含有建材・製品の製造工場など(石綿工場以外の従業員であった場合でも要件を満たす場合があります。詳しくは弁護士などにご相談ください。)(2)その結果、石綿による一定の健康被害(※)を被ったこと。※ 石綿肺、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚など(3)提訴の時期が損害賠償請求権の期間内(※)であること。※ 期間内であるかについては、弁護士などにご相談ください。 
※ 石綿による健康被害により労災保険を受給している(過去に受給した)方や石綿によるじん肺管理区分決定(管理2以上)を受けた方のすべてが和解の対象になるとは限りません。賠償金の支払いを受けるためには、訴訟の中で上記Q1の要件を満たすことが確認され、和解が成立する必要があります。 
厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署

解体工事を発注する方への注意事項
解体工事の施主(発注者)様へ