遺言書の書き方

遺言は、民法に規定された方式に従ってしなければならず(民法960⦅遺言の方式⦆)その方式に反した遺言(要件を具備していない遺言)は無効となります。 

遺言とは
遺言を一言でいうと、被相続人の生前における最終的な意思を、死後に実現させるための制度である。遺言は、一定の方式に従ってされる相手方のない単独行為で、遺言者の死亡の時から効力が発生する(民法985⦅遺言の効力の発生時期⦆)。遺言を行った者を「遺言者(遺贈者)」、遺言により財産を取得する者を「受遺者」という。また、遺贈者は、自由に受遺者を決められることから、相続人でも他人でも、個人でも法人でも受遺者となる。(注) 相続税法では、町内会やPTAといった人格のない社団等が遺贈を受けた場合には、その人格のない社団等を相続税の納税義務者としている(相法66)。 

遺言の方式 
遺言は、民法に規定された方式に従ってしなければならず(民法960⦅遺言の方式⦆)その方式に反した遺言(要件を具備していない遺言)は無効となる。公正証書以外の遺言は、遺言執行の準備手続として、家庭裁判所に提出して「検認」を受けなければならない(民法1004⦅遺言書の検認⦆)。遺言の検認とは、遺言書の偽造・変造を防止し、その保存を確実にするために行われる証拠保全手続であり、遺言の内容の真偽、遺言の有効・無効を判断するものではない。 

遺言の方式 
 普通方式
自筆証書遺言(民法968)
 遺言者がその全文、日付及び氏名を自書し、押印したもの
公正証書遺言(民法969)
遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授するなど一定の要件を備えた公正証書により行ったもの
秘密証書遺言(民法970)
遺言者が署名押印して封印した遺言書を公証人及び証人の前に提出し、遺言者の遺言書であることの証明を受けたもの 

特別方式
死亡危急者遺言(民法976)
疾病等により死亡の危急が迫った者が、証人3人以上の前で遺言の趣旨を口授、証人が筆記するなど一定の要件を備えたもの。遺言の日から20日以内に家庭裁判所に請求しその確認を得なければ効力を失う(民法976④)。
船舶遭難者遺言(民法979)
遭難した船舶中に在って死亡の危急に迫った者が、証人2人以上の立会いをもって口頭で行ったもの。遅滞なく家庭裁判所に請求しその確認を得なければ効力を失う(民法979③)。
伝染病隔離者遺言(民法977)
伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所に在る者が、警察官1人及び証人1人以上の立会いをもって作成したもの
在船者遺言(民法978)
船舶中にある者が、船長又は事務員1人及び証人2人以上の立会いをもって作成したもの(注) 特別方式の遺言は、遺言者が普通方式による遺言をすることができるようになった時から6ヶ月生存するときは効力を失う(民法983)。 

遺言の撤回
遺言者はいつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる(民法1022⦅遺言の撤回⦆)。前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされる(民法1023)。また、遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、破棄した部分については撤回したものとみなされる(民法1024)。